戦いのさなか、死ぬ事のないベリルの前に立ち、盾になった仲間たちを思い起こす。彼らはベリルが不死である事を知りつつも、自らベリルの前に飛び出した。

 死ぬ事のないその身に受け続けなければならない痛みや苦しみを思うとき、彼らの足は自然と前に出ていた。

 迅速な完遂と、仲間が傷つかぬようにというベリルの想いは、傷つく姿を直視する者の心の傷までは考え及ばなかった。

「そうだったな」

 ボナパスを倒さなければと急くあまり、また同じ事を繰り返そうとしていた。彼女の強さに甘えていた己に(いきどお)る。

「すまなかった」

 言ってティリスの頭に手を乗せ、解ってくれた事に彼女は笑みを浮かべた。

「彼らが時間稼ぎをしてくれたおかげで回復した。他の案を探そう」

「うん!」

 ベリルは手にあるハンドガンの弾倉(マガジン)を抜き、予備の弾倉もティリスに差し出す。