クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「やはり、改良されている」

 倒したボナパスに比べてふた回りほど小柄ではあるものの、その凶暴性は以前にも増しているように感じられた。

 真っ赤な胴体とたてがみはそのままに、口から覗く牙はさらに長く──尾は爬虫類のそれを思わせ、その頭には二本の角が生え帯電していた。

 見るからに以前のボナパスよりも厄介だと窺えてベリルは苦い顔になる。

 以前のボナパスのままであったなら、どちらが砲台であるかを今なら見極める事が出来たろう。

 思案する暇もなく、ボナパスの双頭が大きく口を開け赤い炎が勢いよく吹き出した。

 その瞬間、ベリルはそれがリュートやマノサクスたちから自分を遠ざけるためのものだと魔獣の目的を理解する。

 ボナパスは強靱な脚力で素早くベリルに接近し、行動を起こす間もなく腹部に噛みついた。

「ぐう!?」

 激痛で全身の筋肉が強ばり、途端に鉄の臭いが鼻腔に立ちこめ、生臭さが口内に充満し同時に赤い液体が大量に吐き出される。