クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「リュート!」

「──っ!」

 リュートは咄嗟にティリスの傍に立ち、レキナは慌ててみんなを家の中に促す。

 警戒しているベリルとリュートにマノサクスとセルナクスは怪訝な表情を浮かべていたが、吹き抜ける風の中に奇妙な音が混じっている事に気がついた。

 大きな獣がこちらに向かって駆けてくる。

 それは、地面を削りながら唸りを上げて眼前に現れた──セルナクスとマノサクスは突如、現れた獣に目を見開いた。

「なんだ、こいつ」

「え、見たことないよ。こんな獣」

 炎の如き体からほとばしる悪意に二人は思わず後ずさる。

「ボナパス」

 リュートは憎らしげにつぶやき、ティリスを後ろに後退させてゆっくりと柄を握った。

「あああ……。そんな──っ」

 恐怖に(おのの)くレキナの肩にベリルは手を添え、落ち着けと二度ほど軽く叩きながらボナパスの姿を見澄ます。