クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「いい加減にしろ」

 煩わしげに引きはがされたセルナクスは目に見えてしょげた。

「へへーん。ばーか、ばーか」

「セルナ!」

 ベリルは取っ組み合いを始めた二人に呆れて頭を抱えるがふと、何かに気がついて空を仰ぐ。

「マノサクス」

「なに?」

「マナは安定しているか」

「え?」

 他のリャシュカ族も確認するように辺りを見回した。

「ん? あれ?」

 マノサクスは怪訝な表情を浮かべる。

「おかしい。要石は修復されたのに、マナが乱れている」

 そんな馬鹿なとセルナクスは顔をしかめた。

「戻って確かめてきてくれ」

 指示された仲間は頷いてセルナクスとマノサクスを残し、空高く舞い上がる。

「何かがマナのバランスを崩してる」

 戸惑うマノサクスにベリルは眉を寄せて小さく唸る。

 やはり思い違いではなかったか。仮に、マナの不安定が召還の失敗ではなく、意図的なものだとすれば──そう思索したとき、肌がざわりと逆立った。