「くそ。セルナクスめ」

 ベリルとくっついていたいからって、ゆっくり飛んでやがる。

 マノサクスは、リュートを抱えながらも歯ぎしりが聞こえてきそうなほど唸っている。そこまで悔しがる意味がわからないとリュートは顔をしかめた。

「あいつのどこがいいんだ」

「綺麗だし、強いし、料理上手だし。良いとこづくしじゃん」

「そうか」

 こうも直ぐ素で返されるとは思っておらず返す言葉がない。

 この二人は一体、どの時点でベリルに好意を寄せるようになったのか気になる所ではあるものの、尋ねる気分にはなれなかった。