「なにこれー」

「なにこれえ」

「ぷにぷにー」

「ポヨちゃん!?」

 ティリスは驚いて自分の(かばん)を漁り、すぐさまスライムに駆け寄った。

「お前の連れか」

「うん。ごめんなさい!」

 いつの間に外に出たの? 優しく問いかけて抱きかかえる。

「あたしのかばんの中で寝ていたのに、さっきの音で目が覚めたのね」

「起こしてしまったか。すまない事をした」

「ううん。気にしないで」

「それはなんだ」

「希少種のスライムなの」

 ああ、やはりスライムなのか。

「名前は」

「ポヨちゃんです」

「そのままか」

 そういえば先ほど、そう呼んでいたなと思い起こす。

 ピンクのスライムはティリスの腕の中で弾力ある体を揺らしている。けれどもベリルと目が合った途端、少女の腕から抜け出すと勢いよく彼の胸に飛び込んだ。