「勝負だ!」

「受けて立つ!」

 剣でも抜くのかと思いきや、二人はじゃんけんを始めた。平和的な勝負だが、そこまで熱くなる理由がまるで解らない。

「よっしゃ! 勝った」

「くっ──セルナクスめ」

 握りしめた拳を振るわせて友を睨みつける。何がそんなに悔しいのかベリルには理解出来ない。

「付けないのか」

「そんなものは必要ない」

 セルナクスは、ベリルから差し出されたベルトを拒み胸を張る。

「人間の一人くらい余裕だ」

 確かに昨夜は苦もなく飛んでいたが、今回は地上に降りるのだから気流を考慮しなくてはならない。

 いや、有翼人に言う事ではないのかもしれんが。