クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「一体、何が」

 こんな事は初めてだとセルナクスは要石を見つめ、すっかり元通りになっている事に呆然とした。

「もしかして、力の強い者じゃなくてさ」

 心の強い者だったのかな──つぶやいたマノサクスを一瞥し、セルナクスはベリルに視線を戻した。

「強き者……。そうだったのか」

「単にあいつ(ベリル)が不死だからじゃないのか」

 確かに腹が立つほど図太い奴だが。

 リュートは二人のリャシュカ族の驚きにやや呆れ、口の中でつぶやいた。

「そうなのかな。それだけかな」

 隣にいたティリスは聞こえたリュートのつぶやきに、同じように小さくつぶやいた。

 要石はベリルの不死性を求めたことは間違いじゃないと思う。けれど、それなら魔導師たちが強き者と予言するだろうか。

 とはいえ、この世界の人間ではないティリスたちが魔導師の能力(ちから)について知っている訳ではないのだから、その思考は自分たちの心中に留めておく事にした。

 ベリルは安定した事を確認し、ゆっくりと手を離す。