クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「──この!」

 受け止めるなら、それ以上の力で負かしてやればいい。

 セルナクスは力の限りに剣を振り下ろした。

 けれど、受け止めるはずのベリルの剣はぶつかる瞬間、セルナクスの刃をなぞるように傾けられ互いが擦れて小さい火花を散らす。

「なん──!?」

 ベリルはすかさずバランスを崩したセルナクスの背後に回り、体勢を立て直そうとするその腰に(ひじ)を打つ。

「ぬあ!?」

 セルナクスはそのまま倒れ込み、気がつけば首もとにベリルの切っ先が突きつけられていた。

「まだやるかね」

 その瞳に躊躇いはなく、決断すれば間違いなくその切っ先を突き立てる覚悟がある事を理解した。紛れもなく闘い慣れた人間だ。

 端正な面持ちに惑わされていた自分が情けない。

「いいや」

 負けを認め、差し出された手を取った。