ベリルはリュートが監禁されていた地下牢で闘ったときと同じやり方で剣を盾に、セルナクスの剣を受け止めた。
「なるほど」
リュートはそれに感心するが、そのデメリットに苦い表情を浮かべる。
普通の人間があれをやれば、腕が痺れてしばらく使い物にならなくなる。なのに、あいつの腕はダメージを受けていない。
あの状況で、咄嗟に衝撃を分散させられるほどの経験を積んできたということか。
「──っ知恵だけはあるようだな」
セルナクスは苦々しく言い放つ。けれど、眼下の人間は表情もなくこちらを見上げていた。
「よく鍛えている」
「なんだと?」
よもや人間からそんな言葉が紡がれるとは思っておらず、腹立たしげに目を合わせると言いしれぬ感覚にゾクリとしてベリルから素早く距離を置いた。