「行け」
「ティリス!」
リュートは二本目のダガーを手にしたベリルの意図を察し、ティリスの手を掴んで走り出した。
「!? 待──」
追いかけようとした近衛だが、ベリルの投げたダガーは見事、シャンデリアに当たって先ほどと同じく大きな音を立て落下する。
「うわあっ!?」
「ひゃあ!」
そうして、全てのシャンデリアが床にたたきつけられ、舞い立つ煙と薄暗い視界に紛れてベリルも足早に部屋を出た。
「追うんだ!」
セルナクスは声を荒げて部下に命令し、逃がすものかと駆け出す。通路に出ると、翼を広げて要石の部屋へと続く扉に手をかけているベリルに凄い速度で迫っていった。
ベリルはハンドルを掴んでいた手を離し、目の前に立つセルナクスを仰ぐ。
「思っていたよりも速い」
なるほど、この通路の幅でも飛べるように訓練していたか。どう見ても通路の幅より大きいと思われる背中の翼を一瞥する。
「人間め」
この状況にもまったく動じないベリルの声に、セルナクスは眉間のしわを深く刻む。
「ティリス!」
リュートは二本目のダガーを手にしたベリルの意図を察し、ティリスの手を掴んで走り出した。
「!? 待──」
追いかけようとした近衛だが、ベリルの投げたダガーは見事、シャンデリアに当たって先ほどと同じく大きな音を立て落下する。
「うわあっ!?」
「ひゃあ!」
そうして、全てのシャンデリアが床にたたきつけられ、舞い立つ煙と薄暗い視界に紛れてベリルも足早に部屋を出た。
「追うんだ!」
セルナクスは声を荒げて部下に命令し、逃がすものかと駆け出す。通路に出ると、翼を広げて要石の部屋へと続く扉に手をかけているベリルに凄い速度で迫っていった。
ベリルはハンドルを掴んでいた手を離し、目の前に立つセルナクスを仰ぐ。
「思っていたよりも速い」
なるほど、この通路の幅でも飛べるように訓練していたか。どう見ても通路の幅より大きいと思われる背中の翼を一瞥する。
「人間め」
この状況にもまったく動じないベリルの声に、セルナクスは眉間のしわを深く刻む。



