すると、ベリルがあの黒い塊を握っていた。その瞳はゾクリとするほど冷たく、戦士の表情が表れていた。

 やはり、あれは武器だったのか。得体の知れない力にリュートは表情を険しくする。

 ベリルは他に気配がないと解るとショルダーホルスターに銃を仕舞い、吐き出された空薬莢(からやっきょう)を拾ってパンツのバックポケットにねじ込んだ。

 レキナは驚いて死体に駆け寄る。

「ガルムです! どうしてこんなところに? 岩山に()む獣なのに──」

「他にはいないようだ」

 ベリルは言って、ガルムの側でへたり込んでいるコルコル族の子どもに近づく。恐怖に震える二匹にティリスは胸が痛んだ。

「キュッ!?」

 膝を突き、手をさしのべたベリルに二匹はビクリと体を強ばらせた。

 涙を貯めて震え続ける子どもたちを、ベリルは急かすこともなく落ち着くまで待ち続けた。

「心配ない」

 二匹はベリルの瞳に張り詰めていた緊張が緩んだのか、声を上げてその首にしがみついた。




†††