「どうか。どうか、助けて頂けまいか」

「よく解らないけど、困っているんですね」

 深々と頭を下げるレイノムスに戸惑いは隠せない。強引に捕らわれ、塔に閉じ込められた経緯を思えば、彼女がまごつくのも当然だろう。

「あなた方が、我々の最後の希望なのです」

 レイノムスは顔を上げ、心痛な面持ちで目を閉じた。

強硬(きょうこう)な手段に出た事は詫びのしようもない。言葉が通じないのではと、焦ったあまりの愚行でした」

「そうですか」

 見知らぬ世界に招かれたあたしたちが不安だったように、この人たちも知らない世界からの来訪者に不安を抱いていたかもしれない。

 そう思えば、この人たちのやり方も、なんとなく頷けた。

「切羽詰まっていた故の愚行にご理解を示して頂き、その心の広さに感謝いたします」

 そこで、もう一つ。

「あなたから青年に、我々の現状を説明し、協力を求められないだろうか」

「え?」

「予言では、あなたがた二人の力が必要であると──。しかれど、我々の言葉を聞き入れてくれそうにはないのです」

 ティリスはそれに、リュートの怒っている顔を思い浮かべた。