「ティリス」

 列の中央に両手をつながれたティリスの姿を見つけたリュートは、剣の柄を握りしめ駆け出そうとした。

 しかし、ベリルに肩を掴まれ止められてしまい思わず睨みつける。

「少し待て」

「何を悠長なことを」

「あれ、副議長だよ」

 マノサクスが差したのは、ティリスの前にいるリャシュカ族の男性だ。五十歳を過ぎたあたりだろうか、翼も少々くたびれている。

「副議長がいるなら、城に連れて行かれるんじゃないかな」

 それにリュートは連れてこられたときに見た巨大な城を思い起こす。

「沢山の会議室があるから、何か話すんだと思う」

 すぐに何かするってことはないよ。

要石(かなめいし)もそこにあるよ」

「要石?」

 リュートに聞き返されたマノサクスが説明すると、みるみるうちに顔つきが険しくなる。

「俺たちをその修復に使おうというのか」

 その魔導師とかいう奴ら、叩き斬ってやる。