「彼の助けがなければここまで来られなかったのだ。許してやれ」

 そう言われてしまえば仕方がない。リュートは未だ納得がいかないながらも、看守に没収されていた剣などをマノサクスから受け取る。

 外に出ると辺りはすっかり暗く、通り沿いに設置されている篝火(かがりび)が道しるべとして灯されていた。

 庭園造りの通路を西に進むと、木々に隠されるように建つ塔が視界に入る。

「あそこだよ」

 マノサクスは言って、見張りのいない事を確認し茂みから出ようとした直後、ベリルはすいと左腕を上げて制止する。

 それにいぶかしげな顔をすると、塔の入り口からたいまつを持った数人が出て来るところだった。

 数人の列となっている前後は警備だろうか、たいまつを持ち辺りを警戒している。