──地下牢は地面の鉄柵で囲まれた敷地の広さがそのまま地下の空間となっているらしい。狭いようでいて、以外と広さがある。
通路は階段から降りて真っ直ぐ通り、左右に三本ずつ分かれていた。
その構造にベリルはいぶかしげな目を向けて、なるほど随分と逃げやすいと思っていれば、鍵を奪われない対策をしているからかと感心する。
通路も広さがあるとは言えず、外に続く出入り口は一つ。その階段も狭いのだから、大勢での逃走には無理がある。
とはいえ、牢から出たところで地面は限られている。大陸からの逃走手段もそう多くは無いのだから、他種族にとっては、この大地自体が牢獄のようなものだろう。
ふと、ベリルは階段から右側の最奥にある牢に気配を感じ、鉄格子に取り付けられている文様を視界に捉えて牢の中の影に口の端を吊り上げる。



