──広場に戻ると、ティリスの笑い声が聞こえて目で追う。
笑みを浮かべ、コルコル族の子どもを抱きしめている少女にリュートの顔は自然とほころんだ。
「あ、リュート! 見て。可愛い!」
「ああ」
すかさず表情を戻し、隣に腰掛けた。
「なるほど」
ベリルは遠目でつぶやき、口角を吊り上げる。
ティリスがリュートに向ける視線と、リュートがティリスに向ける眼差しは共に同じ、特別な感情が宿っている。
互いに恋心を抱きながらも、その想いは胸に秘めたままらしい。いや、少女の方は少し違うのか。
「いいですねぇ~。ああいうの」
レキナがその脇で小さく笑った。