──ウェサシスカに遅めの夕暮れが訪れる。
ランタンを持ち地下牢の周囲を巡回していたリャシュカ族の二人は、いつものように虫の声を聞きながらゆっくりと歩いていた。
「のわ!?」
突然、一人が膝の裏に衝撃を受け、がくりと両膝を折ると首に何かが強く巻き付いて苦しみに悶えた。
「どうし──!?」
もう一人が驚いて振り返ったと同時に、激しい痛みが後頭部に走り地面につっぷす。
「うぐ……う」
男は遠のく意識のなか、倒れた仲間を薄らいでいく視界に捉え、何が起こったのか解らずに気を失った。
「もう、知らないからな」
マノサクスは半ば投げやりに、首を絞めて落とした男を抱えて茂みに隠すベリルに続いた。
それから守衛の二人を丁寧に縛り上げ、入り口に戻る。