──その頃、コルコル族の集落では

「わ!? なんだ?」

 突如、レキナたちの目の前に厚手のローブを着た数十人が現れた。

 身長は百六十センチほどと小さく、フードを被っているため紫の瞳だけがギラついている。

 何かを探しているのか、コルコル族には見向きもしない。

「え、これって」

「魔導師だ」

 ラトナにステムは目を丸くして答えた。

 どうして彼らがここに? しかも、こんなにたくさん。半数ほど見られる紺藍(こんあい)のローブは、ウェサシスカの魔導師たちだ。

「勇者はどこだ!」

「え? 勇者? ウェサシスカに連れていかれました」

 囲まれて詰め寄られたレキナは、たじろぎつつも返答する。

 そして、初めて大勢の魔導師を見て怖がる事もなく楽しそうにはじゃいでいる子供たちの様子にほっとした。