──確か、リビングで効率の良い装備を思案しながら武器の手入れをしていた。

 ここのところ要請が立て続けで、そろそろ長めの休暇でも取ろうかと思い、行きたい場所を考えていた。

 ベリルにとっては、さして変わらない日常のはずだった。

 手入れを終えて二杯目の紅茶を淹れようかと立ち上がったそのとき、唐突に視界が歪み、気がつけば見慣れない草原にいる。

 昼前だったと思うのだが、視界の太陽は傾きかけていた。即効性の睡眠薬でも打たれ、見知らぬ場所に放置でもされたのかとも考える。

 セキュリティ満載の家に警報を鳴らす事なく侵入しなおかつ、私に気付かれずにいられる者ならば、あるいは可能かもしれない。

「ふむ」

 小さく唸り、改めて周囲を見回した。