──ウェサシスカに向かう準備が整い、コルコル族たちが見送りに集まる。
「お気を付けて」
飛び上がるマノサクスとベリルにレキナは手を振って無事を祈った。
やがて小さくなった影に振っていた手を下げ、これがベリル様が召喚された理由なんだろうかとぼんやり考えた。
ベリル様を残そうが、一緒に捕まえていようが、彼らにとっては災難にしかならないと思うんだよね。
どんなに強いかなんて、僕には解らないけど。ベリル様の強さって、そういう所だけじゃないような気がする。
──晴れた空にぽつりぽつりと雲が流れ、高度が上がるにつれて風が強さを増していく。こんな状況でなければ、空の旅を楽しみたいものだとベリルは足元に広がる草原を眺める。
ふと空に小さな黒い影を捉え、それはみるみると大きくなっていった。
「でかいな」
菱形のそれは細く渦巻く雲をまとい、荘厳な姿を見せつける。



