クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「付与が可能なものは」

「ボクは冷気属性らしいので、冷気なら付与出来るかもしれません」

「よろしく頼む」

「はい。やってみます」

「料理が上手いだけじゃないのか?」

 マノサクスは手際よく準備を進めていくベリルに(いぶか)る。

「こう言っちゃあ、あれですけど」

「うわ。いつの間に」

 隣に立っていたレキナに(たま)さか驚いて翼を広げる。それにしても、相変わらずちっさいなあとレキナの脳天を見下ろした。

「ベリル様を残したこと。失敗だと思います」

「へ?」

 ひと言だけを残して去って行くレキナの背中を黙って見つめた。

 出発は余裕を見て明日となり、マノサクスは少しほっとした。飛べはするけれど、ウェサシスカまで人間を抱えてとなると不安があった。

 もちろん、それだけじゃない。

 二人を救出するために向かうベリルに協力する自分は、仲間から裏切り者と言われても仕方ない。

 でも、やっぱりこれは間違っている気がする。そんな思いがありつつも、ウェサシスカに戻る事に躊躇していた。

 まだ少し、オレには心を決める時間が必要なんだ。

 一刻も早く救出に向かいたいが、マノサクスの説明から早急に二人をどうにかする事はないだろうとベリルは判断した。