クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「疲れたのか?」

「あ。ううん」

 笑顔で答える少女を、リュートは無表情に見下ろした。

 心配をかけまいと元気に振る舞っている。いつもそうして気遣っているのは、足手まといだと思われたくない気持ちもあるのだろう。

 そんな事を思うはずがないと言いたいところだが、以前に言ってしまっている手前、その自信はない。

 だが、我慢して倒れられた方が俺にとっては心が痛む。ティリスの体調を俺は気づけなかったという事なのだから。

「そこにいろ」

「え?」

 それだけ言って遠ざかるリュートの背中に小首をかしげた。