クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「そういう場所なのかね」

「まあ。リャシュカ族のテリトリーですからねえ」

 平然と答えるステムにマノサクスは、もっとしっかり説明しろよと呆れて首を振る。

「あんた。魔法は使えないんだろ? だったら、なおさら無理だ」

 ウェサシスカを舐めているとしか思えない。

「ベリル様ならいけますよね。勇者なんだし」

 レキナはベリルを見上げてしれっと発した。

 勇者というくくりで「いけますよ」と言った訳ではない事はマノサクスを除く、ここにいる誰もが理解している。

「どうにかなるだろう」

 ここにいても解決する事はないのだから、行動するしかない。強引なやり口で行われたものは大抵、穏便な結末とはいかない。

「勇者?」

 顔をしかめるマノサクスに、レキナはまだ気がついていないんだと肩をすくめた。

「僕らが召喚した勇者は、リュート様とティリス様とベリル様の三人です」

「ええええ!?」

 魔導師たちはひと言もそんなこと言ってなかったよ? 要石の修復に必要なかったから言わなかったの?