魔導師とは、シャグレナ大陸に住んでいる魔法に長けた種族で、外見はエルフや人間に似ているが背は低い。占術にも優れており、千里眼も備えている。

 リャシュカ族は魔導師たちの中から特に力の強い者を選び、ウェサシスカに上がるようにと要望する。

 その見返りとして、ウェサシスカは彼らに手厚い援助をしている。

 北の大陸に住む事を決断した彼らは、やせ細った大地で古来から暮らしてきたためその血、自体が弱っている。

 そのせいで様々な変化に(もろ)く、元の種族に比べると短命だ。

「ふむ」

 なるほど、そこから二人の事が漏れたのかとベリルは一定の理解を示した。

 ウェサシスカは常に中立を保ち、下界の争いにも不介入を通してきた。あらゆる知識と書物を保管している、この世界の叡智を集めた場所である。

 時には、大陸に住む優秀な者を招き入れ。時には、複雑で判断し難い事象についての裁判を行う。

 ウェサシスカの実権を握っているのは「評議会」と呼ばれる十数人からなる年長のリャシュカ族たちだ。

 彼らの決定なくしては、リャシュカ族たちは自由に動く事は出来ない。