クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「お願いです。あいつを倒してください」

 申し訳なく思いながらも、レキナは懇願した。

「すぐに了承は出来ない」

「この人たち困ってるのよ。そんな言い方ないじゃない」

 ティリスは、ぶっきらぼうに言い放ったリュートに少しムッとした。それに、ベリルがフォローを入れる。

「相手が解らない状態で気安く承諾は出来ない。大きな責任が伴うものには、慎重にならねば」

「あ……。そか」

 ティリスはベリルに言われて、リュートの考えを理解していなかった事に肩を落とした。

 ベリルは恋愛にとことん(うと)(たち)ではあるが、二人の関係は複雑なようだという事は解ったらしい。

「ひとまず。我々の宿を頼みたい」

「あ! すぐに用意します!」

 慌てて立ち上がったレキナに続いたベリルは、呼び止めて何かを話している。その様子を、ティリスは視界全体で捉えて小さく溜息を吐き出した。