──次の日、リュートとティリスの二人は元の世界に戻るべく、集まったメイジたちから儀式の手順を簡単に聞かされた。
描かれた魔法円は二つ。還す側と還る側でそれぞれが立つというものだ。円の周囲には儀式に使われる材料が綺麗に並べられている。
「会えて良かった」
ティリスはベリルの首に腕を回し別れを惜しむ。リュートをちらりと見れば、別れのときにまで怒るほど心狭くはないらしい。
ただし、顔はこちらを向いてはいない。
「元気でな」
ぽんと軽く背中を叩き、リュートのいる魔法円に入るティリスを見送る。
香が焚かれ、二メートルの魔法円のなかにこんなにいたのかと思うほどコルコル族のメイジたちが詰め込んでいた。
彼らは大体が内向的で、あまり人と接することを好まない。人嫌いという事ではなく、関係を築く期間を面倒だと感じているのだろう。



