「俺が、還ると言ってもか?」

「えっ」

あいつ(ベリル)のそばにいたいなら、残ればいい。俺は、還る」

 すねたな。実に解りやすい。

「リュ、リュート」

 突き放されてティリスは途端に不安になった。リュートと離れるなんて考えられない。

「あたし……還る! リュートと一緒に還るよ!」

「ティリス」

 マントの端にすがるティリスを見下ろす。冷静に振る舞っているように見えて、目がとても嬉しそうなリュートにベリルは薄い笑みを貼り付けた。

 なんなら若干、口元が歪んでいる。ティリスが下を向いているのをいいことに感情がだだ漏れしている。そんなリュートに、こいつはだめだと顔を覆った。

「私に任せて還ると良い」

「じゃあ魔術師(メイジ)たちに話してきます」

 レキナは、やっと終わった喧嘩に苦笑いを浮かべてメイジたちのもとへ駆けていった。