「非常手段だ」

 ベリルの体は、あらゆる物質をエネルギーに変換する事が可能なため、エネルギーが必要な場合にのみ、こうして何か手近なものを口に入れる。

「あまり頻繁に怪我をすると回復が遅くなる」

 普段は周囲にある、目には見えない物質を取り込んでいる。もちろん、それをベリル自身が調整している訳ではない。

 欠損した部分の修復にはそれなりのエネルギーが必要となり、周囲に漂う物質だけではまかないきれない事もある。

 そうなると衣服やら手に持っているものまでエネルギーとしてしまうため、防止策としてとりあえず何かを体内に入れる事にしている。

「美味くはないが仕方がない」

「面白い体だな」

「私もそう思うよ」

 駆け出してボナパスの正面に立つと、手にしたハンドガンの引鉄(ひきがね)を連続で絞った。