クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

 
 ベリルはそれらを眺めつつ、これまでの事を念頭に考察を始めた。

 不思議な事であるが、こちらの言葉が違和感もなく通じている。向こうの言葉も(あやま)りなく私に伝わっているようだ。

 表層意識を通しての会話だとするならば、これは可能なやり取りだと考えられる。書かれていた技法には、それを同時に行うように組み込まれていたのだろう。

 フェネックがそうであったように、その世界に無い単語や名称はそのまま伝わっているらしい。

「なぜ俺たちが呼ばれた?」

 もちろんリュートが問うその中に、ベリルは含まれていない。

「僕は魔術師(メイジ)じゃないので、よくは解りません」

 けれど僕が聞いた説明では、書物には特定する箇所はないと言っていました。

「開かれた次元の裂け目に偶然、我々がいたという事か」

「ああ、なるほど」

 推測で応えたベリルにティリスは納得した。