次のワイヤーにつながれていたショットガンから放たれたスラッグ弾はボナパスの左太ももに命中し、三本目のワイヤーにつながれていたライフルがボナパスの右にある頭の左目を貫いた。
ボナパスは強烈な痛みに呻き、それでも弱まる兆しがない。
「わわわ!?」
「こっちに来る!?」
「大丈夫。落ち着いて」
ティリスはレキナたちを守るため、常に彼らとボナパスの間に入るように立っている。しかし、荒れ狂う魔獣に三人は恐怖で慌てふためきその場から逃げた。
「だめ! こっち!」
ティリスは叫び、走るレキナたちを呼び止める。
「でも!?」
強い口調に思わず立ち止まった瞬間、目の前にボナパスが駆けてきてレキナたちは一気に青ざめた。
「うそ……」
ラトナはボナパスを見失うほど、自分たちが小胆していた事に情けなさを感じると共に、あの動きを予測したティリスの卓越した勘に驚嘆した。
「ひえええ」
あのまま走っていたら僕たちは死んでいたかもしれない。ティリス様が呼び止めてくれなかったら本当に危なかった。



