「威力があり遠方からの攻撃が可能だ」

 バラしてバッグに入れていたものを組み立てた。
 
 AS50──重量は十四.一キログラム、射程距離はおよそ千八百メートル。

 セミオートで装弾数は五発(プラス一発)。50口径弾を使用する。

 イギリスの銃器製造会社、アキュラシー・インターナショナルが開発した対物狙撃銃である。

 二十センチのコンクリートなら容易く破砕出来るほど強力だ。

「ボナパスを相手にこの装弾数では不安はあるが仕方がない」

 ベリルがよく使用しているバレットM82は、同じくセミオートで50口径弾を使用し装弾数は十発(プラス一発)とAS50の二倍ある。

 もう一つのバッグにならそれが入っていたのだが、生憎と先に車に積んでしまった。車の中にいたならば、車ごとこちらに来ていたのだろうかとつい考えてしまう。

 手もとにある予備の弾倉(マガジン)は五つ。

 それを再装填する余裕があるかどうか──弾薬の装填(そうてん)空薬莢(からやっきょう)の排出を手動で行うボルトアクション式でなかったことがせめてもの救いか。