──朝、食事を終えて清々しい空気のなか、ティリスとベリルは互いに剣を持ち見合っていた。二度目の手合わせだ。
ベリルは二人の手合わせを眺める他は、いつも一人で剣を振っていた。誰に教わった訳でもなく、それはいつしか見事な剣舞となっていた。
自身が使う剣をまずは知るためにと行っていたものであるが、あながち間違った訓練法ではなかったらしい。
ベリルの習得速度が速いのも理由の一つではある。
「はあ!」
振り下ろされるティリスの剣を受け止め払いのける。ようやく剣の重さにも慣れてきた頃ではあるけれど普段、手にしない武器はどうにも違和感がついて回る。
剣というものは長さによって動きが大きく異なる。それはナイフでも同じではあれど、やはりまだ手足のようにとはいかず、多少の苛つきは隠せない。
横から来るティリスの剣を無意識に避けながら左手が腰に回る。これまた意識はしていない。
腰から戻ってきた左手には銀色に輝く金属が握られていて、ベリル自身が気がつくよりも先にティリスの首にその切っ先が当てられた。



