クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「連携が鍵を握る。とはいえ、私は信用されていないようだがね」

 溜め息を吐き、レキナたちの手伝いをしているリュートを見やる。

 あれだけの事をしておいてよくも言うとリュートがいれば目を吊り上げていただろう。ティリスはもちろん、そんな事は知らないので呆れたように肩をすくませる。

「ベリルって──沢山、闘ってきたの?」

 受け取った弾薬を見下ろし、彼が戦士である事を思い出したのだろう。ティリスの不安げな面持ちにベリルは目を細めた。

「いつか、私を必要としない日が来る事を願っているよ」

 真っ直ぐに、揺るぎない眼差しは殺し合いを楽しむ者のそれではなかった。

 この人もリュートと同じ、本当は人を傷つけたくないんだ。これまでの事で解ってはいたことだけどそれを今、ティリスは確信した。

 性格や言動はまったく違うのに、やっぱり二人はどこか似ている。