クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

 
 ──作戦会議を一端、中断して休憩に入る。

 ベリルは離れた所で一人、座り込んでいるティリスを見かけて歩み寄った。

「そうすねるな」

「だって──っ!」

 言葉を詰まらせたティリスの隣に腰掛ける。

「一つ聞く」

「何?」

 ベリルは予備の弾倉をホルスターのベルトから抜き、弾薬(カートリッジ)を一つ取り出して見せた。

「これに魔法を付与出来るか」

「出来るよ」

 それを受け取り、手のひらに乗せる。重さや質感を確認し、目を閉じて口の中で何かを呟くと、カートリッジがやや輝いた。

「はい」

「ありがとう」

 手渡されたそれを弾倉に戻し、ハンドガンの上部を引くとガシャリと音がして弾薬が薬室(チェンバー)に送られた。