クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「私とリュートで相手をする。お前には待機してもらいたい」

「えっ!?」

 ティリスは思いもしない指示に驚いて声を上げた。

「レキナたちを守ってやってくれ」

「どうして!?」

 納得出来ないと拳を握りしめる。

「彼らに危険が及ばないとは限らない」

 相手はただの獣ではない。もしもの時に対処出来るのは、闘いを経験している者だ。

「そんなの、言い訳だよ」

 あたしが足手まといだって言いたいくせに。そんなので誤魔化されない。

「彼らを放っておけと?」

 他の脅威が無いとは言い切れない。闘いに集中するためにも、守る者は必要だ。

「──っ」

 そう言われてしまえば何も返せない。

 守りを任せてくれるのは、それだけ認めてくれている証なのは解っているけど、やっぱり納得は出来なかった。