「まあ落ち着け。歳を考えれば私は父親のようなものだ」

 そんな事でリュートの気が晴れる訳もなく。

「父親じゃなくて、“おじいちゃん”だろ」

「リュート!」

「確かに」

 乾いた笑いをあげてティリスに向き直る。

「シャノフの手伝いをしてやってくれないか」

「わかった」

 素直に駆けていく後ろ姿を見送り、ふてくされているリュートに顔を向ける。

「そう怒るな」

「あんたには関係ない」

「私が発端だろうに」

 言われてベリルを睨みつける。

 なんだってこいつのために、俺とティリスが言い合いをしなければならん。

「信用ないな」

「あると思うのか」

 よくもぬけぬけとそんな事が言える。

「もう少し笑うと良い」

「面白くもないのに笑えるか!」

 怒鳴った刹那、ベリルが素早く起き上がり、リュートの背後に回った。