「──っ!」
唐突に抱きしめられたベリルは、どういう了見なのかと当惑する。
振り払うのも気が引けるが、このままというのもどうにも居心地が悪い。
しかし抱きつくティリスの口から、「お父さん」と小さく聞こえて、そういう事かと彼女の背中をぽんと二度、軽く叩いた。
ティリスは、ベリルに亡き父を思い浮かべて静かに目を閉じる。
どれだけ気丈でいても、彼女はまだ若い。思い出に浸る時間も必要だろう。そんなティリスの頭を撫でながら、ベリルもまた過去の記憶を辿っていた。
ベリルにもかつて、少ない時間であったが共に過ごした者がいる。
彼は悲惨な過去に向き合い、立派な傭兵となった。それはベリルの望む道ではなかったけれど、本人が決断した事ならば止める事など出来はしなかった。
誰しも、それが大切な人ならば戦いに身を置く事を望んだりはしない。私のように死なない訳ではないというのに、それでも私の背中を追ってきた。
私に何が出来るのか、何を望むのか──救える命があるのなら、私は持ちうる全ての力を振るうだけだ。
けれども、遠くからの視線にはどうしていいものやらと困り果て眉を寄せる。ひしひしと背中に突き刺さる怒りのオーラにベリルは困惑していた。
私が悪いのではない。心の中で叫んでも、リュートにそれが伝わるはずもなく夜は更けていく。
唐突に抱きしめられたベリルは、どういう了見なのかと当惑する。
振り払うのも気が引けるが、このままというのもどうにも居心地が悪い。
しかし抱きつくティリスの口から、「お父さん」と小さく聞こえて、そういう事かと彼女の背中をぽんと二度、軽く叩いた。
ティリスは、ベリルに亡き父を思い浮かべて静かに目を閉じる。
どれだけ気丈でいても、彼女はまだ若い。思い出に浸る時間も必要だろう。そんなティリスの頭を撫でながら、ベリルもまた過去の記憶を辿っていた。
ベリルにもかつて、少ない時間であったが共に過ごした者がいる。
彼は悲惨な過去に向き合い、立派な傭兵となった。それはベリルの望む道ではなかったけれど、本人が決断した事ならば止める事など出来はしなかった。
誰しも、それが大切な人ならば戦いに身を置く事を望んだりはしない。私のように死なない訳ではないというのに、それでも私の背中を追ってきた。
私に何が出来るのか、何を望むのか──救える命があるのなら、私は持ちうる全ての力を振るうだけだ。
けれども、遠くからの視線にはどうしていいものやらと困り果て眉を寄せる。ひしひしと背中に突き刺さる怒りのオーラにベリルは困惑していた。
私が悪いのではない。心の中で叫んでも、リュートにそれが伝わるはずもなく夜は更けていく。



