「死なないからと、やりたい放題にされるのは勘弁したい」

 彼らに待っているのは、どうあがこうとも不死は得られないという結果だけだ。偶然か、必然か、私に与えられた不死は呪いにも似たものだろう。

 おそらくは、その一族を永遠に守り続ける者に与える、たった一度きりのものだと推測している。

 不死を与える力は受け継がれていき、本意ではなかったものの私に使う事で彼ら一族はようやく、この呪いから解放された。

 早々にこの世から引退出来るだろうと踏んで傭兵という道に進み、死ぬはずだった私が不死になるとは、なんとも皮肉がきいている。

「人間が憎くはないの?」

 酷い扱いを受けて、沢山の人間同士の戦場を見たんでしょう?

「それは私を造り出した者たちの望むものではない」

 柔らかだが、凛とした声がティリスの胸にこだまする。