「だから──っ。だから、リュートは。あたしの言葉、信じてくれない」

 ベリルは黙って炎を見つめた。

 彼女が絞り出した言葉は、とても重たいものだろう。例え人間との混血だとしても、魔族の血が流れている事に変わりはない。

 リュートが服を脱ぎたがらなかった理由と結びつく。その身に、どれほどの苦しみを受けてきたのだろうか。

「あなたは辛い事とか、無かったの?」

 当然の問いかけだ。

「無いと言えば嘘になる」

 何度も捕らえられ、不死を得るためにと体をいじり回されもした。もちろんのこと、そんな生やさしいことでは終わらない場合も多くあった。

 これからも、それが続くことだろう。