クライシス・ゾーン~翡翠の悪魔~

「ティリスはとても優しいだろう」

 粗暴なだけの男に、彼女が想いを寄せると思うかね。

「そう。そうですよね」

 ぱっと表情を明るくする。

「ティリス様は聡明でお優しい方だ」

 晴れたような顔つきでシャノフは応える。三人は恐れてしまった手前、それを拭い去るきっかけが欲しかったのだろう。

「さあ行きましょう」

 喜びで笑顔になり、荷馬車に飛び乗った。