「どうした」

「え。いえ、その」

「勇者なのだから、ひと癖もふた癖もあるのは当然だ」

 何も取って食う訳でもあるまいに、それらしい素振りでもしていたかね。

「い、いいえ!」

「ならば恐れる必要がどこにある」

「は、はい」

 そうは言われても一度、芽生えた感情はそう簡単には拭えない。

「よく見ると良い。彼はただの助平だ」

 小声から、聞こえるように声を張った。

「スケベイとはなんだ」

 また知らない言葉が出たとリュートは眉を寄せる。

「色事を好むこと。また、そういう人やそのさま。好き者」

 真面目な顔で説明されてがくりとうなだれる。

 そんなリュートの反応に、わざわざ日本語の方を教えてやったというのにとベリルは不満げな顔をした。

 また、ベリルはレキナたちに向き直る。