「もちろんそうだ。私がフラスコに入るように見えるか」

「……見えませんね」

 問われてシャノフは複雑な表情を浮かべた。

「そもそも、あれは疑似生命であって数日の寿命でしかない」

 しかし人工生命体という意味では、似たようなものだ。

 シャノフがホムンクルスに対して疑問も持たず答えたということは、錬金術が存在するという事か。

 ホムンクルスだけで言うなら、この世界では成功している可能性が高い。魔力(マナ)という特異な要素だけでなく、それに連なる魔法というものがあるのだから。

 私がいる世界では解釈違いで幾つかの説が残されている。今シャノフと話した事は一例に過ぎない。

 ふと、リュートとテリィスを置いてけぼりにしている事に気付いて意識を切り替える。

「とにかく、目的はまだ果たされていない」

 先に進むべくベリルは立ち上がると、妙にそわそわしているレキナとラトナをいぶかしげな面持ちで見やった。

 二人の視線の先に目を移し、なるほどと小さく笑んだ。ベリルは二人の頭を掴み、しゃがみ込む。