「二十五で不死となり、およそ百二十年ほど経つ」

 その言葉にリュートは絶句した。

 人間が造り出した人というだけでなく、不老不死ですらあるのか。だから、あんな闘い方が出来た。
 不死だからこその戦法だが、力を持たない故の捨て身の戦法でもある。

 出来れば、やりたくはなかった方法なのだろう。俺たちに知られたくないというより、痛みを無くすことが出来ないからだと思う。

 闘わなければ痛い思いをする事はないというのに、こいつの世界の事はまったく解らないが、それでも戦士であり続ける理由が、こいつにはあるんだろう。

「それ以外は、さしたる事柄はない」

 ベリルは言って、焼けただれたようになった服を広げて溜息を吐く。咄嗟のこととはいえ、丁寧に縫われた良い服だったのにと残念でならない。