されど、彼らコルコル族たちが願ったであろう、強き者であるリュートに向ける三人の目は、僅かに畏怖の念が混じっていた。

 彼らにとって、輝く目は猛々しい獣と大差ないのかもしれない。リュートはうっすらとそれを感じ、レキナたちと目を合わせなかった。

 いつものことだ。慣れている。

「そうだな。ここが私の世界ではないからこそ、お前たちには言える事柄がある」

 それを言わなければおそらく、お前たちは納得はしないだろう。

 不死以外に何かあるのかと、ベリルの前置きにティリスたちはやや身を乗り出す。

「人間が人を造り出す事は可能だと思うか」

 もちろん、それは人の営みという意味ではない。

「ふざけるな」

 突拍子もない言葉に、何を言い出すんだと顔を歪める。

「そして百年以上、歳を取らず生きている」

「おちょくるのもいい加減に──」

 ハッとして、リュートは言葉を詰まらせた。

 こんなからかい方を、こいつがするだろうか。ただ怒らせるだけの嘘を、ここにいる全員に(かた)る意味などない。

 そんな奴じゃないことは、結局はからかわれていた俺が一番、知っているんだ。

「あんたは、何者だ?」

 重々しい問いかけにベリルは一度、目を閉じた。



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とつおいつ:[副](スル)《「取りつ置きつ」の音変化。手に取ったり下に置いたりの意》考えが定まらず、あれこれと思い迷うさま。