「普通の人間にはない力だ」

 確かにそうなのだろう。とはいえ、ベリルにとっては魔法とそう変わらない。

「橋の下で生まれたりは」

「……それは捨て子じゃないのか」

「キャベツから生まれる」

「生まれるか!」

 からかっているのかと語気を荒くする。

「便利ではあると思うのだが、違いがよく解らん。魔法でさえ、私にとっては特別なものに感じられるのだから」

 立ち上がり、荷物から取り出した服に着替える。

「何の力も持たない私が呼び出された理由も未だにわからん」

 着替えて座り直す。

「ただ不死というだけでは、私という存在はあまりに非力だ」

「そんなことありませんよ! 僕たちだって魔法は使えません」

 レキナは胸を張って応える。

「呼び出された人間としては非力だろう」

 そう言われてしまえば次の言葉が見つからず黙り込む。