「実はな──」

「魔族と言ってわかるか」

「細かい説明は(はぶ)け」

 回りくどい言い方に眉間のしわを深くした。

「……魔力という、特有の力を持つ。解放すると、ああなる」

「ほう」

 なんともざっくりとした説明だ。

 それは、私が戦闘中でもリュートを見ていたという前提でのものではないか。見ていないと言えば、再び見せてくれるのか。

 まあ、見てはいたが。

「他には」

「風を操れる。ただし、魔族化しなければ大したことはできん。これで満足か?」

「人間との決定的な違いは無いという事か」

 リュートの存在がどういうものなのか。ベリルにはぴんとこない。

 これだけ渋るものなのだから、彼らの世界ではリュートは特別なのだろう。しかも、良い方の特別ではない。

 彼は、それによる苦しみを受けてきたのかもしれない。