「どうしました?」

 案内したコルコル族の少年だか青年は、無言で家を見つめているリュートに小首をかしげる。

 言いたいことは解っている。ここに人間、三人は確実に入らない。

「広い場所はないか」

「あ。すいません。こちらです」

 ベリルの問いかけでようやく察し、広場に案内する。

 集落の端にある広場には、テーブル代わりの大きな切り株が真ん中にどしんと据えられていた。

「わあー!」

 広場は森の途切れた場所に設けられているのか、ティリスは拡がる景色に感嘆の声を上げた。

 ここなら問題ないと切り株を囲うようにベリルたちは腰を落とす。

「長老を呼んできます」

 待っている間に木製のコップに入れられた飲み物が配られた。旅人を歓迎する風習でもあるのだろうか、果物の入った篭も幾つか置かれる。