伊井田の運転する覆面パトカーでバイク便の本社に向かっている。
二度目の相手とあって天宮は冷静である。
本庁からバイク便の本社までは車で一時間程の所にある。
本社へ行く途中の車の中で伊井田が口を開いた。

「天宮さんはさっき、三瀬が最初の相手だったって言ってましたよね?」

「えぇ。言ったわ」

「どんな事件を犯したんですか?」

「大した事件じゃないわよ。ただの痴漢よ」

「そうだったんですか」

「今度は殺人だなんて、、、」

少し悲しそうな顔をして溜め息混じりにそう言った。
そこで2人の会話は途切れた。
中へ入ると2人は窓口へ向かった。

「警察です。三瀬隆一は此方に居ますね?」

天宮は警察手帳を見せながら言った。
その隣で伊井田も警察手帳を見せている。
窓口係は直ぐに調べてくれたが、残念ながら今は配達に出ていて不在だと言う。
天宮達と入れ違いになったらしい。
2人は三瀬が戻って来るまで待つ事にした。