「だって、、、こうでもしなきゃ計画が打ち壊しじゃない!!」

黒猫の声は震え、掠れていた。

「じゃぁ殺すのか!?計画以外の行動をするな。それこそ計画が打ち壊しになる」

徳井は叫ぶ。

「判ったわょ」

黒猫は力無く応えた。

「さっきから計画計画って、、、まさかコイツ等ッ!?」

伊井田はとても小さな声で呟く。

靴音を立てて徳井が伊井田に歩み寄って来る。
腰を抜かした伊井田の前にしゃがみ込み、伊井田を睨む。

「あんまり手は汚したくないんだ。でもバラしたら命は無いからな」

その言葉に静かな怒りを宿して、徳井と黒猫はその場から走り去った。

伊井田は一気に嵐が吹き去った様に感じた。
そしてまた一つ真実を知ってしまった。
それは徳井が黒猫の部下であった事。

「僕はどうしたらいいんだ、、、」

伊井田は両手で頭を抱え、倒れる様に床にうずくまった。その目にはうっすら涙が滲んでいた。
このまま命惜しさに二匹の黒猫を見逃すか。
刑事としての役目を果たすか。
どちらにしろ、首が飛ぶ可能性がある。
だが、選択肢は2つしかない。

伊井田は袖で涙を拭い、走り出した。








           <了>